学校側が奨学金をだして留学生を受け入れる場合、学則でその内容を定めますが留学生側に不利益になるような定めかたをしてはいけません。また留学ビザでの上陸許可基準において、日本に滞在している間は生活費などを支弁するだけの経済力等が求められ、奨学金がこの支弁する能力として認められるかきになるところですが、省令において奨学金を有していれば、支弁する能力を有することが認められる文言になっています。ですので奨学金を給付することは、本邦において資産状況が厳しく自身の支弁能力では来日できない外国人を日本に呼び寄せやすくなる手段ともいえます。そんな奨学金ですが、給付をするさいにはいくつか注意点が必要です。
奨学金をもらっており、なおかつ資格外活動許可をうけることができるのか?
本来の留学という活動目的を妨げない範囲、相当性が認められる場合であればいいとされています。また資格外活動許可を受けた場合は、週28時間以内であること、所属機関などの変更がある場合は届出を行う必要があるなど法律上の義務は果たす必要があることにはちゅういしてください。
(資格外活動許可について詳しく開設した記事)
1 貸与条件
留学生としての本来活動の継続が困難とならないよう,貸与を受ける留学生が以下に該当する場合を除き,原則として,在学中にその貸与を終了する条件が付されていないこと。例えば,奨学金の貸付の際に指定された稼動先(アルバイト先)を辞職した場合に貸与を途中で終了することを条件とすることは認められません。
❶退学したとき。
❷心身の故障のため修学を継続する見込みがなくなったと認められるとき。
➌学業成績が著しく不良となったと認められるとき。
❹奨学金の貸与を受けることを辞退したとき。
❺死亡したとき。
❻その他奨学金を貸与することが適当でないと認められるとき。
2 返済条件
❶在学中の返済が求められていないこと。
留学生は我が国において勉強に従事するために入国・在留が認められているものですので,在学中の返済は,留学生としての本来活動に支障が出るおそれがあることから,原則として認められません。なお,入国後,例えば長期休業期間等で資格外活動による収入が多い月に,留学生本人の希望により,生活に支障のない範囲内で繰上返済を行うことは差し支えありませんが,貸与した法人により繰上返済が強要されることは認められません。
❷貸与額の残額を一括で返済する等の条件が設けられていないこと。奨学金の貸与を受ける場合,留学生が貸与額を一括で返済できる資産を有しているとは通常考え難いことから,次のような場合に一括で返済する又は違約金を徴収する等の条件が付されているものは認められません。
ア 貸与を途中で終了した場合
イ 就労に係る在留資格への変更が認められなかった場合
ウ 卒業後に奨学金を貸与した機関等の特定の機関で就労しない場合
エ 返済期間中に特定の機関を辞職する場合
また,奨学金の貸与を受ける留学生が奨学金の返済期間の途中で本国へ
帰国する場合に,本邦に引き続き在留する場合よりも高額な返済が求めら
れることは適当ではありません。
なお,特定の機関において一定期間就労した場合に,就労期間に応じて
その返済の一部又は全部を免除することは差し支えありません。
➌返済額が,就職後に得られるであろう収入からみて生活に支障のない範
囲内であること。例えば,月当たりの返済額が手取りの約1割以内であれば,一般的には
生活に支障のない範囲内と考えられます。なお,収入が多い月などに留学生本人の希望により繰上返済を行うこと
は差し支えありませんが,貸与した法人により繰上返済が強要されることは認められません。
3 その他に注意すること
❶奨学金の貸与を受ける留学生が奨学金の貸与条件及び返済条件を理解し
ていること。
❷奨学金貸与期間中の資格外活動許可に基づく稼動(アルバイト)先及び
教育機関卒業後の就労先があらかじめ決められている場合には,奨学金の
貸与を受ける留学生がその労働条件を理解していること。
➌本邦に在留する期間中の生活に要する費用(学費・生活費)のすべてを
奨学金により支払う場合を除き,奨学金以外の方法により支払うこ
ととなる費用について,現に有する預貯金等により支弁可能であると確認
できること。
4経費支弁に係る提出資料
貸与型奨学金により学費などを支弁する場合は現在有する預貯金などの資料に加えて以下の資料がひつようになってきます。
❶奨学金の貸与条件及び返済条件を規定している資料(奨学金貸与規程等)
❷奨学金の貸与に係る契約書の写し(貸与を受ける留学生が自筆で署名したもの)
➌奨学金の支給回数等具体的な貸与方法を説明する資料(貸与する法人から授業料として直接教育機関へ年2回支給,貸与する法人から留学生の銀行口座へ毎月支給等)
❹奨学金貸与期間中の資格外活動先があらかじめ決められている場合には,留学生が稼動することとなった場合の勤務時間や給与等の雇用条件が分かる資料及び留学生が当該条件について理解している旨を申告する資料
❺奨学金を貸与する法人の登記事項証明書(全部事項証明書)及び直近の決算書(損益計算書,貸借対照表)
❻教育機関卒業後の就労先があらかじめ決められている場合には,当該雇用条件が留学生と同等の経歴を持つ者が稼動する場合の雇用条件と同等であることを説明する資料(例えば,就業規則の写し等)及び留学生が当該
条件について理解している旨を申告する資料
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